坂出に行ったもう一つの目的、それが四谷シモン人形館です。
澁澤達彦フリークドラコニアンとしては四谷シモンの名を聞けば心震えるものがあります。その四谷シモンさんの人形の家が、こんなところにあろうとは!いやー、四国侮れない。ネットおよびツイッターでの情報がなければ見過ごすところでした。
JR坂出駅から徒歩で10分くらい。
開館は火・木・土のみなので注意が必要です。
[6回]
この人形館は、鎌田醤油という坂出の地の醤油会社さんがスポンサードしています。
醤油会社が所有していた古い洋館を改装して、人形館とした模様。社長さんが四谷シモン人形の大ファンだったためだそうです。いいなあ。私だってものすごい資産があったならば、自分専用の美術館たてたい!
まあ、そのおかげでこうして四谷シモン人形をまとまって見る機会をいただけたのはホントに嬉しいです。
さて、鎌田醤油の敷地はすぐにわかったのですが、洋館はわからない。そこですぐに目についた蔵元直売所で場所をお聞きました。
旅先のことで、荷物が増えるのを避けるために何も買いませんでしたが、ここのパックに入っただし醤油やポン酢醤油は美味しいんだよなあ。買っておけばよかった。
洋館に一歩足を踏み入れると、いきなりガラスケースのこの人形が出迎えてくれます。ほぼ等身大です。
シモンさんの人形は写真でしか見たことなかったので、こんなに大きいんだと驚きました。
係の方に客間のような洋室に招かれ、注意事項をお聞きしました。人形に触れなければ撮影は可能。
なお、閉ざされたドアの向こうには人形がいるので、自分で開けてみてください、と。
とても面白い趣向です。
この客間には澁澤さんの自筆原稿も飾ってありました。
70年大阪万博の繊維館に飾ってあったというルネ・マグリット人形も異様な迫力をかもしだしています。
玄関横にはとても大きな金庫らしき金属の扉。
スタッフの方から詳しい開け方を聞いておいたので、心を静めつつ開きました。
扉の向こうに人形がいることは、わかっていたのに。思わず、おお、って声がでてしまう。
暗闇に電気がついて二体の人形が現れます。
異界にいきなり通路が開いたような、そんな気分になります。
これぞ四谷シモンワールド。そんな天使の人形です。
この洋館は昭和初期に居宅として建てられたものだそう。和洋折衷のつくりになっています。
洋室中心ではありますがとてもこのように立派な和室も。
洋室もそうですが和室もすべてアールデコな照明具。とても素敵なのです。
和室には菊の御紋の瓦?も。側には明治四年の御輿奉迎奉送記(書き下し文)が展示してありました。
この御輿は崇徳天皇の御輿のことのようです。
さすが坂出、やはり崇徳院との縁は深いですね。
天使に誘われるままに、二階にも上ってみました。
二階は大きな暖炉のあるダイニングです。
ここはカフェにもなっていてお茶をいただけるようです。
なぜか人形に気圧される気分で、今回はパスしました。
四谷シモンさんそっくりの人形。人形はだいたい作者に似るものですが、それにしてもそっくり。
つんとおすましは少女の人形。白いドレスがとても似合っています。
人形は角度によってすべて表情をかえます。
あどけなくみえてたり、どこか艶めいて見えたり。
もう一体、「少年」
少年の持つ危うさと愛らしさ。となりの「少女」の弟なのかしら。
ダイニングの奥にはとてもクラシックな暖炉とソファのセットが置かれた居間です。
写真はこの鎌田醤油のオーナーなのかも。
今回、私のもっともお気に入りはこの人形。納戸をガラッとあけると現れます。
床面がガラスになっていて、これまた見る角度による変化が素晴らしい。
奥の部屋には新しく加わった人形達。
これまたエロティックな。
一点物の木製家具。なんとなくウィーンの分離派のような感じがあります。
生首のようにおかれたちょっと愛嬌のある人形が添えられていました。
お手洗い(本物のお手洗いは別の場所にあります)の中にも人形。
タイルに写りこむ姿が、好きです。
幻想とエロスと、人形たちの息づかいが聞けそうな不思議空間でありました。入場者は私ひとりで、静かにこの空間をひとりじめ。贅沢にもほどがあります。いつまでも、ここにこうしていたい。
後ろ髪ひかれながら人形館を後にしました。
人の目がないとき、人形たちはあの居間でお茶しておしゃべりしているのかもしれません。
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