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酒とバラの日々 福岡を中心とした食べ歩き情報と、ワインやおつまみのレシピブログです。 国内、海外の旅行記もやってます。 Twitter:http://twitter.com/ariahisaeda

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土佐の異端の絵師、絵金の絵金蔵(香南市赤岡)

配偶者の骨折、入院、手術と、ちょっと騒がしい日々だったので、本人のほうも体調を崩し、更新が遅れていまいました。
毎度のことながら、更新したりしなかったりで大変申し訳ない。気長におつきあいいただいている方、本当にありがとうございます。

さて、では、絵金蔵に参りましょう。
無人駅を降りると絵金蔵の表示。絵金目当てに、訪れる観光客も珍しくはないのでしょう。

絵金蔵

絵金蔵は写真のように近代的なつくりの新しいミュージアム。とてもセンスがいいつくりです。
大変失礼ながら、地方の小さな町にこれほどのものが建っているとは、とちょっとびっくりしました。
この町のひとたちの絵金への愛情の現れととともに、センスのいいデザイナーがバックにいるのかも。

拍手[5回]

ああー

駅を降りると迎えてくれるのは、この絵金の絵。すっごい謎です。多分、絵金の絵の一部なんだろうけど。(後で図録を確認すると大鷲を見て驚いている人の顔でした。)

えうち君

不思議な絵に誘われるままに歩くと次の絵。えうち君(時々、女性)とは誰でしょう。ときどき女性なのか、アンドロギュニュス的なサムシングか。澁澤達彦フリークとしては、ものすごく気になるところです。そして魔女までお出迎えしてくれるとは!
ここは四国。役行者の統べる郷(くに)。さて、なにがあっても不思議はありません。

伊能忠敬

伊能忠敬も歩いた道じゃとのことですが、彼は確か日本地図作成のために日本全国津々浦々を歩いたはず。
まあ、そんなツッコミは野暮。
伊能忠敬ならずお大師様も坂本龍馬もきっと歩いた道じゃに違いありますまい。

ポスター

謎な絵たちに導かれ、やっと絵金蔵のポスターに行き会いました。絵金の愛用した真朱。水銀(辰砂)の色がバック。
これも、非常にセンスがよい仕事です。

絵金蔵2

そして、たどり着いた絵金蔵。感慨ひとしおです。ここに来たくて来たくて。

私が絵金という名を知ったのは鈴木清順監督の「陽炎座」という映画のラスト。映画としての内容よりも、そのラストを飾る残酷絵の数々に魅せられました。調べると絵金の名前。土佐の土地柄を反映し、けれんとほとばしる暗黒のパトスで描かれた血まみれの芝居絵。

絵金蔵3

そしてこの赤岡では、絵金の絵を祭りの日に飾るとか。ただでさえ異界の雰囲気のある祭りの雑踏に、ロウソクのゆらめく灯りに照らされる絵金の血まみれの絵。
考えただけでもぞくぞくします。そしてその祭りの伝統は現在も続いているそうで。ああ、行きたい。本ものが見たい。

なかなか祭りの日にちょうどに行くのは難しいので。仕方ありません。せめてその名残を味わいに絵金蔵にて、絵金世界に浸ることにしましょう。

入口

入ってすぐに受付です。

美術館の中は撮影禁止なので、絵金の絵についてはこちらの検索結果から。

提灯

絵金祭の雰囲気を醸し出すために館内は暗い場所があり、蝋燭のように明滅する照明で絵金の絵(ただし、複製品)が照らされています。
そのため足もとが暗い。なので、入場者はこの提灯をお借りします。

(場内の撮影は禁止でも、せめてこの提灯を、と、入口の係の方にお願いしてもっていただき撮影しました。無理言ってすみません。ヘンな観光客です(^^;;;


「絵金」こと広瀬金蔵。町人の出でありながら狩野派に学び、その才をもって土佐藩のおかかえの絵師にとりたてられました。しかし先天の霹靂のような贋作事件によって放逐され、この赤岡にて町絵師として活躍したのだとか。まあ、この謎の多い贋作事件はいろいろと説があるようです。
とはいえ、御用絵師としての活動だとただの達者な絵描きに終わった可能性も。
藩政改革と贅沢禁止令などで相撲と歌舞伎という二大娯楽を奪われた民衆にとって、絵金のダイナミックな絵は娯楽そのもの。絵金のこの絵は市井にあってこそだったのではないでしょうか。

とにかく、一枚の絵の中でストーリーが進んでしまうこういった浮世絵ダイナミズムは、おそらく現代のマンガにも脈々と受け継がれているのでしょう。
いや、ホントに面白いんですよ。

そして異界と近しい土佐という土着性。海辺の漁師町では漁によって命を落とす人も少なくなかったのでしょう。土佐の亡霊は海から来るのだそうです。絵金のおどろおどろしい絵を祭の日に海に向かって張り出すことによって、怨霊よけにしたとか。それが現在にも伝わる赤岡の絵金祭なのだそうです。

そして現代の私も、時を忘れて、絵金の絵のデータベースで遊びました。絵とその題材になった芝居が説明してあります。残念ながら歌舞伎に詳しくないので、ストーリーはデータベースにある分しかわからないのですが、それでも面白い。当時の人には常識だったんだろうなぁ。

ラムネ

あんまり夢中になって見ていたので疲れました。いつもの如くカフェで一休み。
図録を見ながらラムネをいただきました。


カフェ1

ここのカフェにも、絵金の絵の複製が飾ってあります。ここは一応撮影可。

カフェ2

有料の飲み物の他に、冷えたお茶が置いてあって。こちらも有り難く頂戴しました。
この日もとても天気がよかったので。本当にありがたい心遣いでした。
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