おどろで血腥い歴史を淑やかに飲み込んで、現在はただただ静かな雰囲気の神社です。雨に濡れた社殿が趣を深めています。
とはいえ、天神様もお稲荷様もあるったけの神様が並んでいるのは、怨霊鎮めに必死だった当時の権力者たちの怖れを如実に表しているような。
もっともこの神社では怨霊の祟りというよりはヤブ蚊の来襲で、ヒドイ目にあいました。特に私は蚊の餌食に。
次に向かったのは花の御所。正式名称は
京都御苑ですが、みな御所としか言わないんだそう。
実は、京都から東京への遷都は正式に行われてはおらず、天子様はただ東京滞在されているだけ、とのことです。
吉田屋のマスターから、「なーんにもあらしまへんえ」と言われた御所。
紫宸殿などがある内部に入るためにはあらかじめ申し込んでおかなければなりません。
丸石が敷き詰められただだっぴろい道は、とてもきれいですが、歩きにくいです。
でも、まあ、広々として、ゆっくりのんびりできる場所ではあります。あまり観光客もいないし。
そして迷った末にやっと辿り着いた
晴明神社です。
随分前にここも尋ねたことがあったのですが、その様変わりにびっくり。
昔はほんと小さくて静かなお社だったんですけどねえ。ここ数年の陰陽師ブームで、えらい変わりよう。
晴明ゆかりの一条戻り橋の縮小版です。一応、橋の石はもともとあったものを持ってきているとか。
修学旅行生御用達ってことでしょうか。おどけた式神の像があったり、晴明グッズが売られている土産物屋があったりと。打ち寄せる近代の波に、安倍の陰陽師もおちおちと眠っておられないかもしれません。
土産物屋さんは西陣の織物屋さんがやっておられるようで、織物の糸巻きやシャトルが売られていて、現在の西陣の苦渋がしのばれます。とりあえず晴明ブームに乗っかることで延命を図られているという状態なのでしょうか。
とにかくよく歩いたので、最後は喫茶店で一休み。「カルチェ」という名前の小さな個人経営のお店です。後から気付いたら、外観などを撮影しそこねてました。
年配のご夫婦でやっているお店らしいのですが、こちらの珈琲も見事なもの。非常に美味しくて思わずおかわりしちゃいました。
こういった喫茶店、どこも経営しているのは年配の方々ばかり。
京都ですら、やがては消えていくのかもしれないので、今の内なのかも。
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