秀衡の時代に造営された伽藍はすでになく。 池を中心とする浄土庭園だけが残されています。 毛越寺の伽藍の復元想像図に、当時の栄華を偲びます。かなり想像力がいるなぁ。
それにしても、いい季節(とき)に、ここに訪れることができたものです。紅葉の時期にと思っていたわけではないのです。たまたま、いろんな事情が重なって、この日しかなかっただけで。本当に幸運でした。
赤く染まる木々がまるで、紅蓮の炎のよう。
この朱色が、奥州藤原氏が夢見た平泉王国の終焉の炎と重なります。
藤原三代の王道楽土の豪奢な夢は潰え、歴史の闇の中に沈みます。
資料となって残されたものは少なく、鎌倉方の歴史書からわずかに推察されるのみ。
夏草や つわものどもが 夢の跡
と、芭蕉の碑がたっています。
芭蕉は高舘(義経終焉の地)でこの句を詠んだそう。 だからこの夢は義経の夢かもしれない。でも、人は、同時に奥州藤原三代の潰えた王国も重ねてしまいます。
もう一つ、英語訳の句碑がたってます。
The summer grass
'Tis all that's left
of ancient warriors' dreams
新渡戸稲造の訳だそうです。
そして拡がる毛越寺伽藍の跡、浄土庭園。真ん中に池を配した平安づくりの、池だけが残っています。
わずかに残るお堂。それらを紅(くれない)に染まる木々が彩っています。
紅葉の色が本当に独特なんです。朱色の混じった柔らかい色彩です。
池に注ぎ込むこの小さな川では曲水の宴が執り行われたそうです。
紅葉越しのお堂。
朱色の葉がお堂を隠します。
お堂の中には美しい仏様が、アルカイックスマイルを浮かべています。天平の仏とも、奈良、平安期の仏ともまたちょっと違うような。
なんとなく、ガンダーラの影響を受けているんじゃないかと思えるような端正な仏様でした。
石のお地蔵様を、わくらばが、綺麗に飾っていました。この季節だけの、美しい衣装。
浄土庭園は、その周りをぐるりと回って歩くことができます。どこも紅葉撮影のポイントだらけで、私は3周くらいしました。天気には恵まれませんでしたが。それはそれで、穏やかな感じで。
もう少し腕があったらなぁ。
池の中心には、龍をかたどった舳先の船が浮かんでいました。
紅葉越しに見る池もまた風流なものがあります。
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