寒い日々が続きますが、来週から少しは緩むみたいですね。と、同時に花粉症の季節がやってくるかな。それも厄介です。
再び東北旅行記にもどります。
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午前中を遠野のボランティアの昔話語りで過ごし、午後は南部曲がり家「千葉屋敷」へと足を延ばすことにしました。
デンデラ野など、行きたいところはいくらでもあるのですが、なにぶん、交通機関(あし)がない。岩手は、本当は車で回るのがいいそうです。
そこで、「千葉屋敷」ひとつを目指していくことにしました。
[13回]
観光案内所でいろいろと調べてもらった結果、路線バスが一日に一本だけ走っているとのことなので、それを利用することにしました。ただ、流しのタクシーなんて望むべくもない場所なので、そのバスは絶対に乗り遅れるわけにはいかないですね。 ちょっと緊張しました。
路線バスは山に登ってはそこから引き返したりと、のんびりと進みます。
なにしろ合図さえすれば、バス停以外でも停まるというシステムです。
ゆっくりした気分が車窓を楽しむことができました。効率を重視しない旅というものもいいものです。
千葉屋敷に着きました。一面を広がる野山の中にぽつんとあります。写真では天気がよくて暖かそうに見えますが、突然の寒波なので、凍えるほどに寒いです。背中に仕込んだ貼るカイロがめっちゃありがたい
でも、乾燥していて、光が強くて、写真を撮るには絶好の機会です。
枯れ木すらおもしろく感じます。
千葉屋敷は、内部に馬を飼う小屋を備えた昔ながらの大きな農家。私の親戚の古い家でも、私が子供の頃、家の内部で牛を飼っていたから、ひどく懐かしく感じました。(いまの日本からは信じられないような話しでしょ?)
千葉屋敷は観光客に公開している部分はあるものの、実際に人が住んでいる場所もあります。
「どうか、作物を盗らないで下さい」との立て札に、心ない観光客がいるなぁ、と胸痛む思いをしました。ここらは現在の世相を映していますね。
昔ながらの古い道具などが展示されています。
千葉屋敷のチケットを管理している場所のおばちゃんはとても親切で。私が路線バスから降りてきたのを見ていたらしくて、何時に戻れば帰りのバスに乗れるということを教えてくれたり、その時間まで暖かい場所で休んでいけと併設の喫茶店に招いてくれました。
渋柿を剥きながら私と世間話をするおばちゃん。
「今朝、雪が降りましたねえ。ついこの間溶けたばかりと思ったのに、早いわ。」と。ああ、やっぱりここら辺は寒くて大変なんだろうなぁ。
すみません。雪が年に一回か二回しか降らない場所から来たヘタレの寒がりです。
すっかり冷え切った私は、とにかく暖かいものが欲しくて、コーヒーを頼みました。大変失礼ながら、こういった観光地のコーヒーにまったく期待していませんでした。
でも、出てきたのは丁寧に淹れられた本格的な一杯建ての旨いコーヒー。おみそれしました。 薫り高く、旨い。暖まる。
紅葉に橙色に染まった山々。
急に気温が落ちたので、風はとても冷たく、でも、清浄で…。
高い高い秋の空に、別世界にきた思いがしました。
遠野の三大話のひとつに、森の中の異界へと続く道を辿り、見知らぬ長者の家にいきつくマヨイガの話しがあります。
なるほど遠野はとても異界に近い場所に思えます。特に千葉屋敷のある付近など特にそう思いました。 私にとって、間違いなくマヨイガでした。
ひとはマヨイガからひとつだけ贈り物をもらって帰ることができます。この美しい風景の記憶が、私へのマヨイガからのギフトでした。
(もちろん、これは単なる一観光客の感傷。そこに住んでいる人にとっては、それどころではなく、当たり前のリアルライフの舞台にすぎぬわけですが。)
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