目的地「涙の館」を目指しました。「涙の館」というロマンチックな名称だけではなく歴史的な「悲劇」の舞台です。
「涙の館」にまつわるイネスとペドロの悲恋の話は
こちらに。ヒロインイネスが隠れ住み、惨劇の舞台となったのが、この「涙の館」だそうです。
悲恋そのものより、亡き女(ひと)のために凄惨な復讐を遂げるペドロにラテンの情熱と残酷の熱い血を感じます。ポルトガルでは誰でも知っている有名な恋物語なのだそうです。
愛の情熱と血の残酷の両方に彩られた小さな館は、今もひっそりと息づいています。
[9回]
実は正式な「涙の館」の入り口がわからずうろうろしていた我々は裏口から入りました。親切な人が(たいていのポルトガル人はとても親切です。)こっちに行けば、「涙の館」に入れると教えてくれたので、行き着いたようなもんですw。はい、いつものとおりのドジっぷり。
だから最初に行ったのが、イネスとペドロが逢い引きをしていたという「恋人の泉」。
ポルトガル語はわかりませんが、FONTE DE AMORES という言葉からは、「恋人の泉」くらいは類推できます。
崩れかけた門は1326年からここに建っていたのね。
長い時間を経てもこんこんと沸き続ける泉。
誰もいないので、ちゅうたれくんで記念撮影。てへ。
緑濃い庭に朽ちなんとする邸宅の門の後、私の好みの風景です。
そして林を暗くする大木。もしかしたら、この木は語り合う幸せだった時代の恋人たちを見守っていたのかもしれません。
もうひとつの泉「涙の泉」の前には石の説明板がありました。「涙の泉」はイネスが喉をかききられて死んだ場所なのでその説明が記述されているのでしょう。
はい、こちらが涙の泉。恋人の泉より少し大きいです。
イネスといたいけな子供たちは、ここで凶刃に倒れたのでしょう。
運命に翻弄された気の毒な女性です。
伝承では泉の水はイネスの血により赤く染まり、今もなお底に赤が残っている、と。
確かに底が少し赤いです。でも、これ、多分地質に鉄が含まれているだけだと思うなあ。
(化学でロマンも台無し)
こちらは多分新しい池。「涙の館」は現在のホテルとなっていますので、その施設なのでしょう。
綺麗な蓮が咲いていました。
庭園をさらに進むと、なんとなく中世の城っぽい建物が。
これが、現在ホテルとなっている涙の館 Quinta das Lágrimas(キンタ・ダス・ラグリマス)です。
キンタはポルトガル語で邸宅とか農場とか広い意味があって、よく耳にします。
ホテルなので入っていいかなー、と思いつつ、中に足を踏み入れると、ロビーにはイネスのドレスが飾ってありました。
思いの外きゃしゃで小柄な方のようです。まあ、中世のヨーロッパ人は今よりずっと小柄だったようなので普通なのかしら。
肖像画もありましたが、儚げでたおやか、傾城の名に相応しい美姫(といっても、実際にその姿を写したのか伝説にインスパイアされて描かれたものかはわかりませんが)
静かなホテルで館の内庭もとても素敵でした。
多分、客室もクラシックで素敵なんだろうなぁ。ゆっくりと滞在し、伝説の場に思いを馳せるに相応しい場所のようです。
帰り道は正規の道、夾竹桃の並木道です。綺麗。
こちらが正規の門。ちゃんとQuinta das Lágrimasと書いてありますね。
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