レオポルド美術館、オーストリア絵画館と、クリムトに縁のある美術館ばかりを行きましたが、さて、もうひとつ。
ウィーン分離派会館(Wiener Secession)です。19世紀末のユーゲントシュティールの旗手たちが、第一回分離派展を開くために建てたのがこの建物。
ユーゲントシュティールの薫り高く、月桂樹のドームのついた華やかな建物です。(いや、まあ、地元の人は黄金のキャベツと言ってるそうですが(^^;;)
ここは人通りがホント多くてね。写真が撮りにくいのです。(この写真は前回の旅行のものです。)
[0回]
新しい芸術を作り出すという気概のもとに
DER ZEIT IHRE KVNST DER KVNST IHRE FREIHEIT
「時代には、その芸術を 芸術には、その自由を」と書いてあるらしいです。
植物のモチーフ、メデューサの顔のデコレーション。伝統的なものとはまた違った幻想的な建築です。
こちらは建物の模型。結構内部は広いのです。
創建の由来や創建当時の写真なども置いてあります。
中では近代美術の展覧会が開かれています。私が行った時はショートフィルムの上映会やってました。えーとYou tubeでやったほうがよくね?などと失礼な感想を抱いてしまうような、コンセプチュアルでモダンな芸術です。あんま、興味ないので、まずは素通り←ひでえ。
私の目的はただ1つ。この建物の地下にあるクリムト作の壁画、ベートーベンフリースです。
残念ながら、壁画は撮影禁止。
部屋の四面、天井近くを飾る雅なユーゲントシュティールの。ベートーベンの第九に想を得ての交響曲的な世界。
金箔を多用したどこか日本の琳派などの影響を感じます。
特に正面に掲げられた、第二楽章、敵対する脅威と、病気、狂気、死のゴルゴン。暴力を象徴するゴリラ。官能と誘惑と浮気そして死の悲しみ。
奔放な想像力を駆使したイメージの箱。
いろいろとパンフレットから部分を掲載しましたが…。うーん、どうでしょう。
こればっかり、やはり部屋とともに壁画として見ないと、わかりにくいかもしれません。そして、印刷物では色がまったく違う。
もっと、もっと、鮮烈な色遣いです。
個人的には、美々しい「接吻」よりも、ずっと好きな作品です。
クリムトはその生涯で、次々と作風を変えた人なので、人によって好きな絵がかなり違いそうです。
もっとも、この一枚のために、8.5ユーロ(1200円くらい)の入場料に配偶者はぶつぶつと言ってましたが…。(^^;;
私は前回この絵に惚れ込んだし、もう一度ウィーンに行くことがあれば、またここにこの絵を見に来ようとするだろうなぁ。それくらい惚れ込んでいます。
分離派会館の建物は、ライトアップされた夜景が特に美しいです。
キャベツがキラキラとしていて、幻想味30%増って感じ。
表面のうかし彫りも、夜の灯りの中では陰影を増して、グロテスクなイメージすらあります。
PR